Vol.5「絵本と木の実の美術館」に続きます。「越後妻有 大地の芸術祭の里」へ行ってきました。
「越後妻有 大地の芸術祭の里」を旅する Vol.5「絵本と木の実の美術館」
越後妻有への1泊2日の旅もそろそろ終わりです。「絵本と木の実の美術館」を見学した後は、車で越後湯沢駅に向かいながら、幾つかの屋外常設作品を観覧することにしました。
十日町南部と越後湯沢を結ぶ国道353号線は、信濃川へと注ぐ清津川の側を通っています。しばらく越後湯沢方面に南下し、川を見下ろす高台の上の公園に着くと、一つの作品がありました。それが内海昭子の「たくさんの失われた窓のために」でした。
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ちょうど窓枠のようなフレーム状の作品で、中は空洞になっていて、上に白いカーテンがかかっています。高台ゆえか風が強く、終始、カーテンが揺れていました。
作家は、「妻有の風景をもう一度発見するため」に、窓を作り上げたそうです。まさしく同地に典型的な地形、ないし風景を切り取っているのでしょう。窓の中では、空の青と雲の白、そして里山の緑に川面の水色が美しいコントラストを描いていました。
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この窓から、清津川を渡って、支流の釜川の川辺にも、もう1つ別の作品があります。しばらく車で進むと、ちょうど土手の上に、錆び付いた鉄板が見えてきました。フィンランドのカサグランデ&リンターラ建築事務所による、「ポチョムキン」でした。かなり大型で、内部も広く、ランド・アート、ないしは建築物的な作品と呼べるかもしれません。
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鉄板の内側には、白い石が敷き詰められています。樹木は元々、この地に生えていたのかもしれません。すぐ右側が川で、岩場をざあざあと流れる水の音も聞こえてきました。それ以外の音は一切なく、そもそも人の気配がまるでありません。何やら結界の中にでも入り込んだようでした。
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中央部は川に向かって開け、タイヤを吊り下げた柱が設置されています。座るとブランコのように漕ぐことも出来ました。
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さらに進むと景色が変わりました。最奥部での展開です。急に間口が狭くなり、人の背よりも高い鉄板が両側に連なります。その後、通路は右側へと折れました。
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すると川に面したステージのような空間が現れました。眼下には釜川が流れ、奥には里山の光景が広がっています。縦に長い空間を、効果的に利用していたのではないでしょうか。実際にも、作品は「禅庭」を意識したそうですが、確かに厳粛な雰囲気も感じられました。自然の中へ鉄を介在させながら、内から外へと連なる空間に変化を与えていました。
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しばらく風を感じ、水の音に耳をすませ、緑を目に焼き付けた後は、再び国道353号へ戻り、越後湯沢駅を目指しました。ここで全行程終了です。
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越後湯沢に着いたのは15時半前でした。そしてレンタカーを返却し、駅のぽんしゅ館を覗きつつ、土産を買ったのち、上越新幹線「Maxたにがわ」で帰京し、自宅へと帰りました。
結果的に、越後妻有では、初日に松之山、松代を巡った後、「光の館」に宿泊し、2日目に十日町の「キナーレ」や「絵本と木の実の美術館」などを見学しました。
トリエンナーレ、及びイベントの期間中ではなかったため、幾つかの作品の観覧が出来ませんでした。ボルタンスキーの「最後の教室」もクローズしていました。しかしトリエンナーレ開催時でなくとも、広大な領域に、各施設や作品が点在しているため、想像以上に見ごたえがありました。また風景に作品が馴染んでいます。芸術祭も、初回から15年以上も経過していることもあり、地域に根ざしているといえるのかもしれません。
次にトリエンナーレが行われるのは来年です。2018年の7月末から、約50日間の日程にて開催されます。
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」
会期: 2018年7月29日(日)~9月17日(月・祝)
会場: 越後妻有地域 (新潟県十日町市、津南町)
次回は松之山の温泉などを絡めても楽しいかもしれません。アートだけではなく、食事も、そして自然も満喫出来ました。また来夏に越後妻有の地を旅したいと思います。
以上にて「越後妻有 大地の芸術祭の里を旅する」のエントリを終了します。
*「越後妻有 大地の芸術祭の里」を旅する
Vol.1「森の学校キョロロ」・「夢の家」
Vol.2「まつだい 農舞台」・「里山食堂」
Vol.3「光の館」
Vol.4「越後妻有里山現代美術館 キナーレ」
Vol.5「絵本と木の実の美術館」
Vol.6「たくさんの失われた窓のために」・「ポチョムキン」
「たくさんの失われた窓のために」・「ポチョムキン」 「越後妻有 大地の芸術祭の里」(@echigo_tsumari)
公開期間:4月下旬(雪どけ後順次公開)~11月中旬
料金:無料。
住所:新潟県十日町市桔梗原キ1463-1(たくさんの失われた窓のために)、新潟県十日町市倉俣甲1650(ポチョムキン)
交通:JR線越後田沢駅より車で10分。JR線越後湯沢駅より車で40分。
「越後妻有 大地の芸術祭の里」を旅する Vol.5「絵本と木の実の美術館」
越後妻有への1泊2日の旅もそろそろ終わりです。「絵本と木の実の美術館」を見学した後は、車で越後湯沢駅に向かいながら、幾つかの屋外常設作品を観覧することにしました。
十日町南部と越後湯沢を結ぶ国道353号線は、信濃川へと注ぐ清津川の側を通っています。しばらく越後湯沢方面に南下し、川を見下ろす高台の上の公園に着くと、一つの作品がありました。それが内海昭子の「たくさんの失われた窓のために」でした。

ちょうど窓枠のようなフレーム状の作品で、中は空洞になっていて、上に白いカーテンがかかっています。高台ゆえか風が強く、終始、カーテンが揺れていました。
作家は、「妻有の風景をもう一度発見するため」に、窓を作り上げたそうです。まさしく同地に典型的な地形、ないし風景を切り取っているのでしょう。窓の中では、空の青と雲の白、そして里山の緑に川面の水色が美しいコントラストを描いていました。

この窓から、清津川を渡って、支流の釜川の川辺にも、もう1つ別の作品があります。しばらく車で進むと、ちょうど土手の上に、錆び付いた鉄板が見えてきました。フィンランドのカサグランデ&リンターラ建築事務所による、「ポチョムキン」でした。かなり大型で、内部も広く、ランド・アート、ないしは建築物的な作品と呼べるかもしれません。

鉄板の内側には、白い石が敷き詰められています。樹木は元々、この地に生えていたのかもしれません。すぐ右側が川で、岩場をざあざあと流れる水の音も聞こえてきました。それ以外の音は一切なく、そもそも人の気配がまるでありません。何やら結界の中にでも入り込んだようでした。

中央部は川に向かって開け、タイヤを吊り下げた柱が設置されています。座るとブランコのように漕ぐことも出来ました。

さらに進むと景色が変わりました。最奥部での展開です。急に間口が狭くなり、人の背よりも高い鉄板が両側に連なります。その後、通路は右側へと折れました。

すると川に面したステージのような空間が現れました。眼下には釜川が流れ、奥には里山の光景が広がっています。縦に長い空間を、効果的に利用していたのではないでしょうか。実際にも、作品は「禅庭」を意識したそうですが、確かに厳粛な雰囲気も感じられました。自然の中へ鉄を介在させながら、内から外へと連なる空間に変化を与えていました。

しばらく風を感じ、水の音に耳をすませ、緑を目に焼き付けた後は、再び国道353号へ戻り、越後湯沢駅を目指しました。ここで全行程終了です。

越後湯沢に着いたのは15時半前でした。そしてレンタカーを返却し、駅のぽんしゅ館を覗きつつ、土産を買ったのち、上越新幹線「Maxたにがわ」で帰京し、自宅へと帰りました。
結果的に、越後妻有では、初日に松之山、松代を巡った後、「光の館」に宿泊し、2日目に十日町の「キナーレ」や「絵本と木の実の美術館」などを見学しました。
トリエンナーレ、及びイベントの期間中ではなかったため、幾つかの作品の観覧が出来ませんでした。ボルタンスキーの「最後の教室」もクローズしていました。しかしトリエンナーレ開催時でなくとも、広大な領域に、各施設や作品が点在しているため、想像以上に見ごたえがありました。また風景に作品が馴染んでいます。芸術祭も、初回から15年以上も経過していることもあり、地域に根ざしているといえるのかもしれません。
大地の芸術祭2018 & 越後妻有 雪花火2018 開催日程決定!https://t.co/FTHVrWHxqn #大地の芸術祭 #echigo_tsumari pic.twitter.com/r5WnseRXtR
— 大地の芸術祭 (@echigo_tsumari) 2017年8月2日次にトリエンナーレが行われるのは来年です。2018年の7月末から、約50日間の日程にて開催されます。
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018」
会期: 2018年7月29日(日)~9月17日(月・祝)
会場: 越後妻有地域 (新潟県十日町市、津南町)
次回は松之山の温泉などを絡めても楽しいかもしれません。アートだけではなく、食事も、そして自然も満喫出来ました。また来夏に越後妻有の地を旅したいと思います。
以上にて「越後妻有 大地の芸術祭の里を旅する」のエントリを終了します。
*「越後妻有 大地の芸術祭の里」を旅する
Vol.1「森の学校キョロロ」・「夢の家」
Vol.2「まつだい 農舞台」・「里山食堂」
Vol.3「光の館」
Vol.4「越後妻有里山現代美術館 キナーレ」
Vol.5「絵本と木の実の美術館」
Vol.6「たくさんの失われた窓のために」・「ポチョムキン」
「たくさんの失われた窓のために」・「ポチョムキン」 「越後妻有 大地の芸術祭の里」(@echigo_tsumari)
公開期間:4月下旬(雪どけ後順次公開)~11月中旬
料金:無料。
住所:新潟県十日町市桔梗原キ1463-1(たくさんの失われた窓のために)、新潟県十日町市倉俣甲1650(ポチョムキン)
交通:JR線越後田沢駅より車で10分。JR線越後湯沢駅より車で40分。