BankART KAIKO、BankART Temporary
「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」
2020/10/30~12/27
![]()
1959年に村野藤吾の設計によって建てられた横浜市庁舎は、今年移転のために役目を終え、一方で新たにオープンした新庁舎のデザイン監修を槇文彦が担いました。
そうした新旧の横浜市庁舎を中心に、村野と槇の建築作品を模型や図面、それに資料によって詳らかにするのが「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」で、それぞれ会場は馬車道駅を挟んだBankART KAIKOとBankART Temporaryに分かれていました。
![]()
まずBankART KAIKOでは村野の建築が紹介されていて、中でも目を引くのが手描きの横浜市庁舎の図面でした。そこでは1階から6階までの平面図をはじめ、議場天井図や市民広間展開図、はたまた屋上スピーカー取付詳細図などがずらりと並んでいて、さながら建物が解剖される光景を目の当たりにするかのようでした。
これらはいずれも京都工芸繊維大学美術工芸資料館に所蔵された資料で、村野の没後12年経った1996年に同館に寄贈されました。また原寸の階段手摺図などは実に精緻に描かれていて、村野がいかに建物全体ではなく、細部の意匠にまでこだわって設計したのかが良く分かりました。
村野藤吾の建築 模型が語る豊饒な世界目黒区美術館青幻舎
一連の横浜市庁舎の図面の他には、村野が全国各地で手がけた建築の模型や写真が展示されていて、中には日本生命日比谷ビル(日生劇場)の貝が貼られた天井の試作などの興味深い資料もありました。
この他では村野の手がけた椅子やソファも見逃せない作品かもしれません。椅子では背もたれや肘掛けを体にフィットするように丸みを持たせてたり、脚先を爪先立っているように細くして、床との隙間を開けて浮いているように見せるなど、様々な工夫を凝らしていました。村野は椅子だけでなく、照明や時計も自らデザインしました。
![]()
「横浜市役所」 神奈川県横浜市 2020年 1:1000
もう1つの会場であるBankART Temporaryの「槇文彦展」では、これまでに槇が手がけた建築の模型や写真パネルが数多く公開されていました。
![]()
「横浜市役所」 神奈川県横浜市 2020年 1:500
1階の展示室では「ヒルサイドテラス」や「横浜新庁舎」などに関する展示が行われていて、市庁舎では500分の1スケールの模型だけでなく、市議会本会議場の床カーペットや市民ラウンジの腰壁の木材のサンプルも並んでいました。それに天井付近より吊り下がる、30分の1スケールの巨大な断面図も目を引くかもしれません。
![]()
「東京電機大学 東京千住キャンパス I - II」 東京都足立区 2017、2014年 1:200
もう1つの3階のスペースでは、「幕張メッセ」や「東京電機大学 東京千住キャンパス」から、「4ワールドトレードセンター」に「深圳海上世界文化芸術中心」などの建物が紹介されていました。
![]()
「深圳海上世界文化芸術中心」 中国・深圳 2017年 1:500
「マサチューセッツ工科大学 新メディア研究所」などの海外での活動も目立っていたのではないでしょうか。
![]()
「4ワールド・トレード・センター」 アメリカ合衆国・ニューヨーク 2013年
それぞれBankART KAIKOは旧帝蚕倉庫、BankART Temporary旧第一銀行をリノベーションした施設でもあります。そうした歴史的建造物とのコラボレーションも見どころと言えるかもしれません。
![]()
BankART KAIKOの入居する北仲ブリック
BankART Temporaryのみ模型の撮影が可能でした。(BankART KAIKOの「村野藤吾展」は、入口写真パネル以外、撮影不可。)
![]()
アイランドタワー(手前)と横浜市役所
今年6月末に全面供用を開始した横浜新市庁舎は、馬車道駅にも直結し、BankART Temporaryのすぐ隣に位置しています。低層部には全国で初めて市役所内の商業施設である「ラクシス フロント」が入居していていて、ブックカフェや飲食店などが連なっていました。
![]()
横浜市役所 1階アトリウム
低層部はオープンスペースとして自由に行き来することも可能で、開放感のあるガラス張りの巨大なアトリウムも目を引きました。
一方で関内の旧庁舎の敷地は高層ビルとして再開発されますが、行政棟は宿泊施設として利用されることが決まりました。「M meets M 村野藤吾展 槇 文彦展」を鑑賞しながら、実際の庁舎を見学するのも良いかもしれません。
12月27日まで開催されています。
「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」 BankART KAIKO、BankART Temporary(@bankart1929)
会期:2020年10月30日(金)~12月27日(日)
休館:月曜日。但し1月23日は開館。
時間:11:00~19:00。
料金:一般1600円、大学生・専門学校生1000円、横浜市民1000円、高校生・65歳以上600円。中学生以下無料。
*村野藤吾展と槇文彦展の共通チケット
*本人に限り会期中何度でも入場可。
住所:神奈川県横浜市中区北仲通5-57-2-1F(BankART KAIKO)、神奈川県横浜市中区本町6-50-1(BankART Temporary)
交通:みなとみらい線馬車道駅2a出口直結徒歩1分(BankART KAIKO)、みなとみらい線馬車道駅1b出口直結徒歩1分(BankART Temporary)。
「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」
2020/10/30~12/27

1959年に村野藤吾の設計によって建てられた横浜市庁舎は、今年移転のために役目を終え、一方で新たにオープンした新庁舎のデザイン監修を槇文彦が担いました。
そうした新旧の横浜市庁舎を中心に、村野と槇の建築作品を模型や図面、それに資料によって詳らかにするのが「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」で、それぞれ会場は馬車道駅を挟んだBankART KAIKOとBankART Temporaryに分かれていました。

まずBankART KAIKOでは村野の建築が紹介されていて、中でも目を引くのが手描きの横浜市庁舎の図面でした。そこでは1階から6階までの平面図をはじめ、議場天井図や市民広間展開図、はたまた屋上スピーカー取付詳細図などがずらりと並んでいて、さながら建物が解剖される光景を目の当たりにするかのようでした。
これらはいずれも京都工芸繊維大学美術工芸資料館に所蔵された資料で、村野の没後12年経った1996年に同館に寄贈されました。また原寸の階段手摺図などは実に精緻に描かれていて、村野がいかに建物全体ではなく、細部の意匠にまでこだわって設計したのかが良く分かりました。

一連の横浜市庁舎の図面の他には、村野が全国各地で手がけた建築の模型や写真が展示されていて、中には日本生命日比谷ビル(日生劇場)の貝が貼られた天井の試作などの興味深い資料もありました。
この他では村野の手がけた椅子やソファも見逃せない作品かもしれません。椅子では背もたれや肘掛けを体にフィットするように丸みを持たせてたり、脚先を爪先立っているように細くして、床との隙間を開けて浮いているように見せるなど、様々な工夫を凝らしていました。村野は椅子だけでなく、照明や時計も自らデザインしました。

「横浜市役所」 神奈川県横浜市 2020年 1:1000
もう1つの会場であるBankART Temporaryの「槇文彦展」では、これまでに槇が手がけた建築の模型や写真パネルが数多く公開されていました。

「横浜市役所」 神奈川県横浜市 2020年 1:500
1階の展示室では「ヒルサイドテラス」や「横浜新庁舎」などに関する展示が行われていて、市庁舎では500分の1スケールの模型だけでなく、市議会本会議場の床カーペットや市民ラウンジの腰壁の木材のサンプルも並んでいました。それに天井付近より吊り下がる、30分の1スケールの巨大な断面図も目を引くかもしれません。

「東京電機大学 東京千住キャンパス I - II」 東京都足立区 2017、2014年 1:200
もう1つの3階のスペースでは、「幕張メッセ」や「東京電機大学 東京千住キャンパス」から、「4ワールドトレードセンター」に「深圳海上世界文化芸術中心」などの建物が紹介されていました。

「深圳海上世界文化芸術中心」 中国・深圳 2017年 1:500
「マサチューセッツ工科大学 新メディア研究所」などの海外での活動も目立っていたのではないでしょうか。

「4ワールド・トレード・センター」 アメリカ合衆国・ニューヨーク 2013年
それぞれBankART KAIKOは旧帝蚕倉庫、BankART Temporary旧第一銀行をリノベーションした施設でもあります。そうした歴史的建造物とのコラボレーションも見どころと言えるかもしれません。

BankART KAIKOの入居する北仲ブリック
BankART Temporaryのみ模型の撮影が可能でした。(BankART KAIKOの「村野藤吾展」は、入口写真パネル以外、撮影不可。)

アイランドタワー(手前)と横浜市役所
今年6月末に全面供用を開始した横浜新市庁舎は、馬車道駅にも直結し、BankART Temporaryのすぐ隣に位置しています。低層部には全国で初めて市役所内の商業施設である「ラクシス フロント」が入居していていて、ブックカフェや飲食店などが連なっていました。

横浜市役所 1階アトリウム
低層部はオープンスペースとして自由に行き来することも可能で、開放感のあるガラス張りの巨大なアトリウムも目を引きました。
村野藤吾と槇文彦、横浜を巡る展覧会『M meets M』でふたりの建築家の軌跡を知る。 https://t.co/ytnsEN32aL
— Pen Magazine (@Pen_magazine) December 5, 2020一方で関内の旧庁舎の敷地は高層ビルとして再開発されますが、行政棟は宿泊施設として利用されることが決まりました。「M meets M 村野藤吾展 槇 文彦展」を鑑賞しながら、実際の庁舎を見学するのも良いかもしれません。
12月27日まで開催されています。
「M meets M 村野藤吾展 槇文彦展」 BankART KAIKO、BankART Temporary(@bankart1929)
会期:2020年10月30日(金)~12月27日(日)
休館:月曜日。但し1月23日は開館。
時間:11:00~19:00。
料金:一般1600円、大学生・専門学校生1000円、横浜市民1000円、高校生・65歳以上600円。中学生以下無料。
*村野藤吾展と槇文彦展の共通チケット
*本人に限り会期中何度でも入場可。
住所:神奈川県横浜市中区北仲通5-57-2-1F(BankART KAIKO)、神奈川県横浜市中区本町6-50-1(BankART Temporary)
交通:みなとみらい線馬車道駅2a出口直結徒歩1分(BankART KAIKO)、みなとみらい線馬車道駅1b出口直結徒歩1分(BankART Temporary)。