ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「21世紀琳派ポスターズ 10人のグラフィックデザイナーによる競演」
10/5-10/27
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光悦400年のメモリアルを迎えた琳派イヤー。今秋も京都国立博物館の「琳派 京を彩る」を筆頭に琳派展がいくつも開催されています。一方で現代です。今、活躍中のデザイナーが琳派をインスパイアしたらどうなるのでしょうか。その成果をポスターデザインで発表しました。
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琳派でもお馴染みの扇面をモチーフにしています。佐藤晃一です。4連、右から白、青、黄、赤を背景に、これまた色鮮やかな扇面が3つ重なっては並んでいます。中に図柄もなし。ただ色を合わせた扇面です。佐藤本人の言葉を借りれば「未来派やアールデコの風も吹いてきた。」そうです。確かに目を引くデザイン。さてどう見えるでしょうか。
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「掻つ端」や「喜躯」に「待つ」。言葉遊びにもアイデアがあります。中條正義です。赤と水色のストライプの中に描かれたたくさんの模様。どちらかと言えばあまり整理されずに混沌としているようにも見えます。そして菊や松、鳥などのモチーフが浮かび上がる。つまり「喜躯」とは菊、「待つ」とは松のこと。「掻き端」は燕子花です。花をあしらった意匠。3つ並ぶ赤い炎のようなモチーフは葉でしょうか。一つのシンボルマークとして捉えても面白いかもしれません。
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金屏風にゆらぐクラゲ。文字通り「海月図」をデザインしたのが原研哉です。今夏にインドネシアの珊瑚礁に出かけたという原。その時に見た海の景色を取り込んだのかもしれません。背景の大きな楕円。これもクラゲなのでしょうか。まるで満月です。なお金箔は実際に貼って撮影したそうです。
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私が一番興味を持ったのは葛西薫でした。モチーフは群生する花です。やや丸みを帯びて可愛らしい。乾山でしょうか。白に藍に黒を帯びた花もあります。その中で線が緩やかな曲線を描いています。蜂が飛んでいました。ふわりと群れる花。何やら空中に浮くバルーンのようでもあります。
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それにしてもこの花、しばらく眺めていると別のものに見えてこないでしょうか。ずばり人の顔です。花の中心部の穴はそれこそ瞳。良く見れば目の上には2本の睫毛がにょろりとのびています。互いに目配せするような花たち。見る方向を表した矢印も描かれています。実際にも「淑女たちの妖しい夜会」をイメージしているそうです。
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ほかは浅葉克己や永井一正、また服部一成らと続きます。率直なところ強く惹かれるデザインがありませんでしたが、そもそも琳派とは何なのか。その系譜を今に呼び込むのは簡単なことではないかもしれません。
なお会場の受付では、現在、京都のdddギャラリーで開催中の「20世紀琳派 田中一光」展のカタログが販売されています。
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「20世紀琳派 田中一光」@京都dddギャラリー
8月18日(火)~10月29日(木)
監修を担当した美術史家の山下先生をして「琳派を体現する人物こそ田中一光」とも賞する希代のデザイナー。田中の残した膨大なデザインから琳派の要素を盛り込んだポスターをピップアップして紹介しています。
これが図版やテキストを含め、かなり出来の良い作りです。京都の展示までを追えないという方は、銀座でカタログだけでも手に入れておくのも良いかもしれません。
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10月27日まで開催されています。
「21世紀琳派ポスターズ 10人のグラフィックデザイナーによる競演」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:10月5日(月)~10月27日(火)
休廊:日曜・祝日
時間:11:00~19:00 土曜は18時まで。
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
「21世紀琳派ポスターズ 10人のグラフィックデザイナーによる競演」
10/5-10/27

光悦400年のメモリアルを迎えた琳派イヤー。今秋も京都国立博物館の「琳派 京を彩る」を筆頭に琳派展がいくつも開催されています。一方で現代です。今、活躍中のデザイナーが琳派をインスパイアしたらどうなるのでしょうか。その成果をポスターデザインで発表しました。

琳派でもお馴染みの扇面をモチーフにしています。佐藤晃一です。4連、右から白、青、黄、赤を背景に、これまた色鮮やかな扇面が3つ重なっては並んでいます。中に図柄もなし。ただ色を合わせた扇面です。佐藤本人の言葉を借りれば「未来派やアールデコの風も吹いてきた。」そうです。確かに目を引くデザイン。さてどう見えるでしょうか。

「掻つ端」や「喜躯」に「待つ」。言葉遊びにもアイデアがあります。中條正義です。赤と水色のストライプの中に描かれたたくさんの模様。どちらかと言えばあまり整理されずに混沌としているようにも見えます。そして菊や松、鳥などのモチーフが浮かび上がる。つまり「喜躯」とは菊、「待つ」とは松のこと。「掻き端」は燕子花です。花をあしらった意匠。3つ並ぶ赤い炎のようなモチーフは葉でしょうか。一つのシンボルマークとして捉えても面白いかもしれません。

金屏風にゆらぐクラゲ。文字通り「海月図」をデザインしたのが原研哉です。今夏にインドネシアの珊瑚礁に出かけたという原。その時に見た海の景色を取り込んだのかもしれません。背景の大きな楕円。これもクラゲなのでしょうか。まるで満月です。なお金箔は実際に貼って撮影したそうです。

私が一番興味を持ったのは葛西薫でした。モチーフは群生する花です。やや丸みを帯びて可愛らしい。乾山でしょうか。白に藍に黒を帯びた花もあります。その中で線が緩やかな曲線を描いています。蜂が飛んでいました。ふわりと群れる花。何やら空中に浮くバルーンのようでもあります。

それにしてもこの花、しばらく眺めていると別のものに見えてこないでしょうか。ずばり人の顔です。花の中心部の穴はそれこそ瞳。良く見れば目の上には2本の睫毛がにょろりとのびています。互いに目配せするような花たち。見る方向を表した矢印も描かれています。実際にも「淑女たちの妖しい夜会」をイメージしているそうです。

ほかは浅葉克己や永井一正、また服部一成らと続きます。率直なところ強く惹かれるデザインがありませんでしたが、そもそも琳派とは何なのか。その系譜を今に呼び込むのは簡単なことではないかもしれません。
なお会場の受付では、現在、京都のdddギャラリーで開催中の「20世紀琳派 田中一光」展のカタログが販売されています。

「20世紀琳派 田中一光」@京都dddギャラリー
8月18日(火)~10月29日(木)
監修を担当した美術史家の山下先生をして「琳派を体現する人物こそ田中一光」とも賞する希代のデザイナー。田中の残した膨大なデザインから琳派の要素を盛り込んだポスターをピップアップして紹介しています。
これが図版やテキストを含め、かなり出来の良い作りです。京都の展示までを追えないという方は、銀座でカタログだけでも手に入れておくのも良いかもしれません。

10月27日まで開催されています。
「21世紀琳派ポスターズ 10人のグラフィックデザイナーによる競演」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:10月5日(月)~10月27日(火)
休廊:日曜・祝日
時間:11:00~19:00 土曜は18時まで。
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。